□ 2007.08.06 太陽誘電梶@創業者記念館


  群馬県の太陽誘電鰍フ創業者記念館は、昭和35年に現地に移築された近代和風建築ですが、その来歴はとてもユニークなものです。

もともとは榛名工場の事務棟として使用されていた建物ですが、昭和35年の趣意書には以下のような由来が書かれています。

・前身建物は、明治5年に高崎城址に創建された、旧高崎歩兵第15連隊の兵営とともに建設された、将校集会所 に隣接する貴賓室である。
・貴賓室の用材には、高崎城天守閣の一部を原型のまま保存して建てたとされる。
・明治、大正歴代天皇の御座所にもなった、由緒ある建物である。


この趣意書の内容を確実に裏付ける資料は、現在のところまだ発見されていません。
しかし現存する銅版画(明治33年)には「酒保 准仕官下士團 集会所」と書かれた2階建ての建物の裏側に隣接する、寄棟造りの平屋建物が描かれており、この建物が「貴賓室」である可能性があります。

また高崎城には天守閣はなく、三重の隅櫓のことを指しているのではないかと類推されます。
残念ながら本建物の用材が高崎城のものかを確かめることはできませんでした。

現在、旧高崎歩兵第15連隊の遺構は、そのほとんどが姿を消しており、城郭建築の用材が転用されていたとなると、ますます貴重な建築物となります。

今後の発見に期待したいところです。