大宮八幡宮  旧本殿及び拝殿

 大宮八幡宮旧本殿は、昭和30年代中ごろまで、東京都杉並区の大宮八幡宮で使用されていた社殿の一部です。昭和37年頃の社殿建て替えに際に、本殿等が近隣住宅の敷地内に曳家され、その後、増改築して使用されていました。
 旧本殿の規模は桁行三間、梁間二間の流造で、屋根は亜鉛鉄板葺です。正面側には梁間二間、桁行三間、亜鉛鉄板葺の向背付拝殿が建ちます。本業務では、現況と解体記録調査を行い、曳家以前の状態や部材の残存状況等を確認しました。その結果、当初は幣殿・拝殿をもつ社殿だったことが判明し、屋根からは 杮葺きの痕跡、外壁には朱漆が、現状の仕上げの下から確認できました。また、本殿及び拝殿向拝に使用されている材の多くが、曳家以前の古材をそのまま再利用していたことが判明しました。
 創建年代については、向拝柱の柱頭に天保10(1839 )年の墨書きが残されていたこと、そして大宮八幡宮に保管されている旧本殿高欄の擬宝珠に「元禄10年」(1697年)の陰刻があることから、元禄時代までさかのぼる可能性があります。